意外と知らない母乳とミルクの違い
母乳は赤ちゃんの免疫を高める
世界保健機関(WHO)が最低6ヶ月間母乳育児を推奨していますが、それはなぜでしょうか。
母乳は赤ちゃんに栄養を与えるだけでなく、赤ちゃんを守る役割を果たしています。
人のからだの中には細菌やウイルスなどが入ってきたときにそれに打ち勝つためのしくみができています。たとえば抗体と言われるものがそうです。その抗体の本体をかたちづくっている蛋白質を免役グロブリンといいます。母乳は、感染症と闘う助けになったり、疾患を予防したり、健康的な発達に貢献しています。
最初の6か月間に完全母乳で育てられた赤ちゃんは、下痢や病気、胃腸炎、風邪やインフルエンザ等にかかる確率が低くなると言われています。
さらに母乳は、赤ちゃんが病気にかかった時こそメリットがあります。赤ちゃんあるいはお母さまが病気になった場合、母乳に含まれる保護作用をもった成分が増加する傾向があります。赤ちゃんが症状に関わらず、お母さまの身体がその感染症に対する固有の抗体を作り出すため、母乳育児の赤ちゃんは粉ミルクの赤ちゃんよりも早く回復する可能性が高くなります。
免疫グロブリンって何?
すこしこまかい話になりますが、現在ではこのイムノグロフリンにはG、M、A、D、Eという名前がついた5種類が発見されています。
「IgG」
血液(血漿中)に最も多い抗体です。ヒト免疫グロブリン(抗体)の70-75%を占めます。危険因子の無毒化、白血球やマクロファージによる抗原・抗体複合体の認識に重要です。胎児には血液を介してIgGが供給され、赤ちゃんの免疫が発達するまで子供を守ります。
「IgM」
ヒト免疫グロブリンの約10%を占めます。通常血液中に存在します。基本のY構造が5つ結合した格好をしています。感染微生物に対してまず最初にB細胞から産生されます。抗原の侵入に際して最初にB細胞から産生されます。
IgMの抗原に対する親和性は一般的にIgGに比べて弱いとされていますが、5-6量体化することでその結合力を補っています。また細胞表面上の膜分子に結合することでシグナルを入力する活性を発揮することもあります。
「IgA」
ヒト免疫グロブリンの10-15%を占めます。IgAは2つのIgAが結合した格好をしています。血清、鼻汁、唾液、母乳中、腸液に多く存在します。母乳に含まれるIgAが新生児の消化管を病原体から守っています。
「IgE」
ヒト免疫グロブリンの0.001%以下と極微量しか存在しません。本来、寄生虫に対する免疫応答のために存在すると考えられていますが、寄生虫感染がまれな地域ではアレルギーに大きく関与しています。
「IgD」
ヒト免疫グロブリンの1%以下です。B細胞による抗体産生の誘導に関与すると言われてますが、正確な機能はよくわかっていません。これらの免疫グロブリンがすべて感染の病気に関係しているわけではありませんが、この中で子供の感染症に関係深いものは免疫グロブリンGと免疫グロブリンAと呼ばれるものです。
免疫グロブリンと子供の関係
人のからだをいろいろな感染症からまもるには免疫グロブリンという物質はとても大切なものです。例えば、免疫グロブリンGは母親の胎盤を通過してあかちゃんに移ります。従って、母親が持っているいろいろな免疫物質が胎児のからだの中に入りますから、生まれながらにしていろいろな病気に対する抵抗力をつけてもらっているわけです。また、免疫グロブリンAは母乳の中にたくさん含まれていますので、乳幼児のからだは母乳保育をすることによっていろいろな伝染病から身をまもられているといってよいでしょう。
このようなことから、赤ちゃんは生まれてから半年くらいは比較的風邪にもかかりずらくて発熱することも少ないわけです。つまり、母親から受け継いだ免疫グロブリンGや母乳からの免疫グロブリンAをもらうことによっていろいろな病気に対する抵抗力が自然についているというわけです。
ところが、生まれて半年を過ぎると時々熱を出すようになります。これは赤ちゃんのからだの中の免疫グロブリンが少なくなり、こんどは自分でいろいろな病気に対する抵抗力をつけてゆかねばならない時期になったわけです。ですから、今度は生まれてから半年を過ぎるとしょっちゅう熱を出すのはいろいろな感染症に対する免疫をつくっているといえます。そのため、半年というのが母乳育児の推奨期間とされているわけですが、そのタイミングで栄養価の高い粉ミルクに変えるのもいいかもしれません。
今ではいろいろな研究が進んで、感染症に対して積極的に免疫をつけてしまおうというものがあり、これがワクチンです。ワクチンを接種する時期がきたら積極的に受けるようにしましょう。
粉ミルクのメリット
母乳育児をする人がいる一方、粉ミルクでの育児をされている方も少なくないのではないでしょうか。
母乳にたくさんのメリットがあるのは事実ですが、一方で近年完全母乳育児の赤ちゃんに増えているのがビタミンD不足による「くる病」です。
くる病は骨の変形や成長障害を起こす病気で、その原因の多くがビタミンD不足によるものです。粉ミルクにはビタミンDが配合されているため、ビタミンD不足によるくる病を予防する効果があります。
母乳では取れない栄養素が粉ミルクにはあり、粉ミルクでは高めれない免疫力を母乳で高めることができるというように、各々にメリットがありますので、どちらがいいというよりは、混合育児をしていくのがバランスがいいのではないでしょうか。
また、粉ミルクにすることで、お母さまでなくても赤ちゃんに食事を与えられるので、お母さまの負担軽減にも繋がり、外出時には場所を気にしなくてもいいというのも利点ではないでしょうか。
まとめ
母乳も粉ミルクもそれぞれにメリットがあり、それぞれにしか取れない栄養素があります。特に母乳の場合は「初乳」が大切といわれているので、生まれて3~5間くらいは母乳を与えることをオススメしますが、今の粉ミルクも非常に栄養価が高く、ほとんど母乳と変わらないと言われています。
ただ、母乳自体には赤ちゃんの免疫を高める栄養素が含まれているのも事実ですので、混合育児をすることで、お互いに補填し合っていくのがいいと思います。



コメントを残す